月と太陽。。

ルナ君がウチに来てから一年後、今度は真っ白な子猫がウチにやって来た。


当時私が働いていた職場の下水管から水道局の人に救出された子猫。
助けるのはいいけどその後どうするんだ?誰が面倒見る?
正直私はそんなことを考えていた。そこへ部長が、
『おーい!助けるのはいいけど誰が面倒見てくれるんだ?置いてってもらったら困るぞ!』
確かに置いてってもらったら困るような、食品関係の職場だったから部長の言うことはもっともだし、私自身部長と同じ事を心の中で思っていた。なのに私はどういう訳か部長の言葉に、
「私が連れて帰りますから!」
と言っていた。
何言ってんだぁ〜私。。
見たら負けると思って、超遠巻きにしていたのに…
って言うか部長。。ダメだってそんなこと言ったら…
負けちゃったじゃん!!


ぐーちゃん、すーちゃん、ぴーちゃんは歓迎してくれた。
問題はだんな様とルナ君だった。


だんな様…
『ダメだ。明日会社に戻して来い。』
『大体お前ルナは特別だから、もう絶対に他の猫は連れてくるなって子供に言ってただろう!なんでお前が連れてくるんだ!』
『お前はウチを猫屋敷にする気か!』
泣くほど叱られた。
でもこの勝負、私も負けるわけには行かない。
攻守交替。。
「猫は私の道楽です。」
「私は結婚してから友達と遊びにも行かず、飲みにも行かず、かといってあんたがどっかに連れて行ってくれるわけでもなく、それでも文句ひとつ言わず今までやって来たでしょう!」
「こんなことは言いたくないけど、大体あんた何?(以下省略)」
「とにかく猫は私の道楽だから!私にもひとつくらい道楽があってもいいでしょう?返事は?」
………ない   勝利!!


ルナ君…
ルナは人見知りも、猫見知りも激しかったので、とりあえず先生に相談した。
先生も入院中のルナにてこずっていたので、
『いきなり合わせるのはよくない、時間をかけて馴染ませていってください。』
との事だった。
すーちゃんに部屋を提供してもらい、とりあえず一週間はお互いの鳴き声だけを聞かせて、二、三日はガラス越しの対面だけにして、その後直にご対面をした。トラブルもなくお互いに受け入れあってくれた。


子猫の名前…
太陽の『陽(ヨウ)』に決めた。
ルナと仲良くなって欲しかったから、月は太陽のことが大好きだから…そんなことを考えながら決めた名前だった。
でもその名前はあまり使われることはなく、みんな『ちび』って呼んでいた。


ちびちゃんこと陽君は三年くらいであっけなく死んでしまった。
人懐っこくて可愛らしい性格だった。
お兄ちゃんのことが大好きでいつもくっついて行くのはちびちゃんのほうだった。
太陽も月のことが大好きだったんだね。