だんな様の話。

だんな様が
『四国へ旅行へ行かないか?』
と言い出したのは出発の10日くらい前だった。
こんぴらさん道後温泉に行きたいとのこと。
週末の高速道路割引を使って予定をたててくれた。


『定年退職を期に故郷四国に帰ってしまった、仕事でお世話になった人に会いたい。』
とだんな様が言い出したのは出発の前日だった。
「時々『四国銘菓御栗タルト』を送ってくれる人?」
『そうそうその人!』
その人かねサンはトラックの運転手さんで、だんな様が勤める会社の荷を運ぶ仕事をしていた。
6年ほど前に定年を迎え故郷に帰って悠々自適の生活をしているとのこと。


一緒にお昼ご飯を食べて、水の都といわれているかねサンのお家がある四国の都市の名所を案内してもらい、あっという間にお別れの時間になった。
挨拶と握手をして車に戻っただんな様の目から涙がこぼれていた。
続く。。